射精には、内側視索前野はさほど重要な役割は果たさないようだ。内側視索前野に人為的に電気刺激を加えても、射精は起きない。内側視索前野の活動を記録しても、射精と相関関係があるような爆発的な活動は見られない。この部位が射精を引き起こすのであれば、そうした活動が見られるはずだ。だが、むしろ射精時には、非常に静かな状態になる。射精後の数分間も同じである。オスは射精後しばらく性的に不活発になり、次の性行動をすぐに始めるのは困難か不可能になるが、その背景には、この内側視索前野の特性があるのかもしれない。

デイビッド・J・リンデン 『つぎはぎだらけの脳と心』